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紀南弁講座

イントネーションは関西弁。でも何かがとても大きく違う。微妙に伝わらない。
そんな和歌山県の方言を毎月ご紹介。話のネタにご覧下さい。

紀南弁講座

■せえない
楽しみにしていたイベント。でも雨天のため中止になりました。
そんなとき、まわりから聞こえてくるのが『せえない』です。

「楽しみにしたあったのに、せえないわー」
(楽しみにしていたのに、つまらないわ)

「そがなん、せえないわー」
(そのようなことはつまらないわ)

『せえない』とは・・・。『面白くなくつまらない』ことを指します。
笑いに関することにも使いますが、興味のあることに対してつまらないときに使います。意味は少し違いますが「さえない」(ぱっとしない)に似ているかもしれませんね。
■ふうわり
今月のお題は意外と難しかったかもしれません。
「ふうわり」とだけ書いてしまうと、一体何のことかわからないかも。
これは「やにこう汚い服着て、ふうわりよー」という風に使います。解かりましたか?

そうです。ふうわりとは「みっともない」という意味なのです。「かっこ悪い」という意味と重なる場合もありますが、全てがイコールではありあません。
微妙な使い回しが必要だといえるでしょう。
■ちごた
今月のお題は少し簡単だったかな?(そろそろ、ネタもだんだん減ってきたぞ!)
そうです。これは「違った」という意味です。例えば、
「ちごた!こいとちごた。」
という具合に使われますが、これは、
「ちがった!これじゃなかった。」
という意味です。しかし、あくまでも「ちごた」は過去形なんです。
「ちがう」とは訳しません。「違う」は一般的には関西と同じように「ちゃう」が使われます。

ちなみに「間違えた」は「まちごた」となります。
このあたりにも紀南弁の難しさがあるのです。微妙でしょ。
■だすい
「だすいのー」「テキはほんまにだすいやっちゃ」てな具合に使うこの言葉。
「ださい」に似ていますが意味は違います。これは「雑」という意味です。
「あの子は本当に雑な子ね」といういう時などに使います。

「雑い」が「だすい」になったという説が有力??です。
これは、紀南弁としては比較的感染しやすい言葉で、大阪から来た人も1年もすれば、「だすい」に変わってしまうようです。
■テキ
何のことかよくわからなかった方が多かったかもしれません。
この方言は、「テキら、なっとうすんな」「テキ、結婚するらしいで」という風に使われるんですけど、
意味わかりますか?
「テキ」とは「あいつ」とか「あの人」という意味なんです。
まあ、あの人というほど丁寧な言葉ではないので、「あいつ」が適切だと思います。
「あいつら、どうするつもりだ」「あいつ、結婚するらしいよ」という意味なんですね。
元々が「あいつ」という意味なので、女性はあまり使いません。

今まで登場した紀南弁は、何となくニュアンスでわかるものも多かったと思うんです。
けど、どうして、「あいつ」が「テキ」になってしまったのか?
私にも全くわかりません。とにかく「あいつ」は「テキ」なんです。
■きばってや
一番多かった答えが「がんばってね」でした。
こんな簡単な問題クイズになりませんよね。と、言いたいところなのですが実は違います。
確かに関西全般で「きばってや」は「がんばってね」というニュアンスでよく使われます。
しかし、ここ紀南地区では全然意味が違います。

ここでいう「きばってや」とは「かんべんしてくれ」とか「許してよ」という意味なんです。
「もうこれくらいできばってや」とか「そんなん言われても困るわ。きばってくれよ」てな具合に使います。
「がんばれ」と「ゆるして」では全く意味が違うので、大阪の方との会話は噛合いません。
標準語ならわかるのですが、こういう微妙な関西弁には非常に弱いところがあるんですよね。
大阪出身の友人に「関本君、きばってな」といきなり言われると、
何かこいつは私に悪いことをしたのかな?と一瞬思ってしまいます。

もし、あなたの周りにきばってやという方がいたときは、多分応援してくれているのだと思います。
でも、どうもおかしいなと思ったときはきっと謝っているのだと思います。
■やにこう
「やにこう」とは、標準語で「ものすごく」、関西弁で「むっちゃ」、コギャル語で「超」と同じ意味です。
「今年の正月は、やにこう暇やったわ」
「この梅干、やにこう美味いわ」てな具合に使います。

聞きようによっては結構いけてる感じしませんか?
いつか流行語大賞になんてちょっと思っているんですけど……
関係者の方がもしいらっしゃったらよろしくお願いします。
■なっとうよー
これは「どうするの?」という意味。
「どうにもこうにもならないよ」は「なっともかっともならへん」
「体の調子どう?」と聞きたいときは「体なっとうな?」
「これどうやるの?」→「これなっとうするん?」
「困ったな〜。どうしよう」→「よわったな〜なっとしよ」
紀南弁を語る上では避けて通れない言葉です。

もし、あなたに「なっとうするんな?」と訊ねてくる人がいたら、その方は和歌山の方かも知れません。
やり方を教えてあげてください。納豆????ではありません。
■じてこもじけた
まず、この言葉は「じてこ」と「もじけた」に分かれます。
「じてこ」は自転車のことです。「ちょっとじてこ貸いてよ。」などという風に使います。
ここで言う「じてこ」とは自転車だけで、原動機つき自転車は「原じてこ」とか「原てこ」とはいいません。原動機つき自転車は「原チャリ」です。
でも、なぜか自転車の事をチャリとか、チャリキという人は少ないです。
ちなみにチャリとはこのあたりではもみ上げの事をさします。

大阪の大学に通っていた頃友達に「チャリ貸して。」と言われ、
どうして、こいつは俺のもみ上げが欲しいんだろうと真剣に考えた事があります。
■もじけた
これは壊れたという意味です。
ちなみに「もじけた」は過去形で、
「もじける」「もじけそう」「もじけとる」「もじけやすい」
など色々な形によって表現の方法は違います。
「このテレビ、もじけてる」
「ほんまよう、もじける機械やの」
「このパソコン、もじけた。なおいて!」(このパソコン壊れた。直して)
という具合に使います。

結構日常で盛んに使われている言葉なので、仕事などで来られる際には覚えておくと便利な言葉です。

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